いせログ

書きたいことを書きたいままに。

寂しさが好きだ。

先日、彼女と別れた。



赤羽駅の居酒屋で彼女と別れた。
小雨が降っていて、傘をさすかどうかという天気だった。


ぼくと彼女の幸せの価値観は違った。
彼女は大切な人と結婚して、家族になって、とても大きいことは起きないかもしれないけど、その毎日を抱きしめるように、大切に過ごしたかった。

ぼくは日常のふとした幸せにももちろん目を向けたいけど、大きな夢に向かって走っていたかった。いろいろなものと巡り合って、自分の中のいろいろな感情と出会って、自分の世界を広げてみたかった。


そんな話をしたとき友達が教えてくれた言葉がある。

「愛とは、お互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめること。」by サン・テグジュペリ

ぼくらは、お互いを見つめ合う瞬間はもちろんあった。でも同じ方向を見つめることはできなかった。



帰り道

駅で彼女と別れるとき、
今までの時間を惜しむようにお互いの顔を見た。そしてどうしようもなく不器用な手つきで握手をした。ぼくは満面の笑みのつもりで送りだした。


濡れた路面を歩いていると、寂しい。
でもぼくはちょっぴりその寂しさが好きなことに気づいてしまった。


その寂しさは、映画のエンドロールを観ているときに似ていた。電話をきったあとに似ていた。小説や漫画の完結巻を読み終わった後に似ていた。飲み会の後の帰り道に似ていた。卒業に似ていた。夕焼けに似ていた。



それは楽しかった時間があった証明だった



たしかに繋がっていた証明だった



楽しさがあるから寂しさが生まれる。
楽しさが大きかった分だけ、誰かを好きな分だけ、終わってしまったときの寂しさは大きい。


どれくらいの寂しさまで好きだと言えるだろう。


寂しさが好きだ。