チュウトハンパヤロー。
「このままじゃいっせいは中途半端野郎だ」
前勤めていた会社の人事に言われた言葉だ。仕事を辞めたいと伝えて言われた言葉。
普段はとても優しい人で、お母さんみたいな人だった。だから、てっきり次やりたいことに対して応援してくれると思っていた。そんな人から言われた言葉だからこそ、ぼくの記憶に残っている。
たしかに、前の職場ではとくに大きな成果を残せなかった。毎日欠かさず入り口近くの席で、出社してきた人に挨拶をしたことくらいだ。仕事の全容だって全て把握したとは言い切れない。仕事の面白さはそこから体感できたのかもしれない。
でもぼくはその職場で「中途半端野郎」だったことに誇りをもっている。
中途半端であること、それはすごく悪いことのように捉えられる。でも果たしてそうだろうか。中途半端という側面だけ見ていたらたしかに褒められたものではないのかもしれない。
でもほんとにやりたいことが横にあるのに、その気持ちに嘘をついて、ここまでやってきてしまったからもったいないと区切りがつくまで続けるのが正義なのだろうか。
ぼくは食べているパンがまずいことに気づいて、美味しいケーキを見つけて、ケーキを食べはじめた。食べかけをもったいないと言う人はいるだろうが、自分がハッピーなのはケーキを食べているときだ。
「頑張れ」「中途半端になるな」
なんて無責任な言葉たちが飛び交う。
でも彼らは自分の人生に責任をとってくれるのか。
「中途半端になるな」
中途半端になる場所があってもいい。
頑張る場所は自分が決めていい。
「中途半端ヤロー」
あそこでは中途半端だったけど、この場所で一流になろう。
「チュウトハンパヤロー」
あの言葉はぼくのことを思って言ってくれたのだろう。でもぼくはこの場所で中途半端になることを決めたのです。ぼくたちは花じゃない。咲く場所くらい自分で決めろ。