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【ネタバレあり】彼女がその名を知らない鳥たち。

先日、また素敵な映画と出会ってしまった。

 

それが

彼女がその名を知らない鳥たち

 

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主演が蒼井優阿部サダヲ。この時点でもういい映画かもしれないと思ってしまうところがすごい。阿部サダヲに関してはぼく自身あまり出演作品を観ていないが、蒼井優に関しては「オーバー・フェンス」を観て魅了された。ふつうに蒼井優が演じるさとしに恋をしてしまった。しょーじき蒼井優の容姿はそれほどタイプではないが、恋をしてしまった。それほどさとしは魅力的だった。

 

 

そんな蒼井優が主演ということで期待度も高かった本作。

 

映像作品として、素晴らしいとしか言いようがなかった。エンドロールが流れているとき、この作品好きだなあと思わせてくれる作品だった。

 

作風で好き嫌いが別れる映画だとは思うが、蒼井優阿部サダヲの演技力はもちろん、その2人の演技を最大限に引き出す演出がところどころで際立った。

 

 

本作を観て素直に思ったのは、

 

 

「自分より大切だと思える人に出会いたい。」

 

 

ぼくはまだ自分が1番かわいくて、自分が1番好きだ。だがこの作中で阿部サダヲ演じる陣治は、愛する人に必死に生きて欲しいがために、自分の命を自ら断つ。

 

 

「おれを生んでくれ」

 

 

という言葉を残して。こんな言葉言えない。

こんな映画の終わり方は今まで初めてで、とても衝撃的だった。「あなたはこれを愛と呼べるのか」というキャッチコピーの通り、死んでしまったら意味がないじゃないかと思う人もいるかもしれない。でもぼくは「紛れもなく愛だ」と思ってしまった。

 

愛した人に生んでもらう。それは愛した人から無償の愛をもらえるということ。それは陣治にとって1番の幸せなのかもしれない。陣治は死ぬことによって1番の幸せを手に入れた。

 

 

あなたは自分の命を投げ打ってでも生きて欲しいと願う人はいますか?

  ぼくも子どもができたら自分より大切な人ができるのかもしれない。でも現時点で自分の命を投げ打ってまで生きて欲しいと思える人はいない。それだけが愛の形ではないのだけど、その事実がとても悲しくも思えるのだ。

 

 

この作品が最も優れていると思うのは、終始クズばかりがでてきて、「生きづらさ」を感じる作品でありながら、1番最後にこの世で考えうる最高の愛の形を提示してくる点だ。陣治から十和子に対する愛が溢れるシーンが次から次へとスクリーンに映し出され、愛。愛。愛。愛だよ。愛と呼べるよ。最低な男じゃない。ここに誰よりも愛のある人間がいるよ。ということを観客に叫ばせることに、広報の段階から仕込んで成功させたなんと入念な映画だろう。

 

 

 

「自分より大切だと思える人に出会いたい。」

 

 

 

そのとき欲張りなぼくは、彼女と寄り添うように生きていく生き方を選ぶのだろうけど。